■ 焦点レンズによるアクリル板の切断比較 B
試験方法
・試験用レーザー加工機はRSD-SUNMAX-GS1490-150Wを使用します。
・テーブルはハニカムテーブルです。
・試験用加工素材は10mm厚のアクリル板を使用します。
・エアーのあたりの差が仕上がりに影響を及ぼさないように、エアーはOFFで加工
します。しかしすぐに発火するため、レーザー照射口ではない、横の位置から
レーザースポット近辺に弱くエアーを吹き付けて、消炎しています。
・焦点位置は、加工素材の表面になるようにします。
@ 精度の高い光路調整を行い、レーザー照射光からレーザーがテーブルに対して
垂直になるように調整します。
A 標準50mmレンズを装着し、焦点距離を合わせます。
B φ5 のデータを作成し、一度で切断できる加工設定値を求めます。
C 加工します。
D 標準100mmレンズを装着し、焦点距離を合わせます。
E φ5 のデータを作成し、一度で切断できる加工設定値を求めます。
F 加工します。
結果
各レンズの加工設定は以下の通りです。
50mm レンズ : スピード 3[mm/s] 出力 100[%]
100mm レンズ : スピード 7[mm/s] 出力 100[%]
断面
50mmレンズ 100mmレンズ
斜め
50mmレンズ 100mmレンズ
上から
50mmレンズ 100mmレンズ
穴
50mmレンズ 100mmレンズ
・仕上がりは、100mmレンズの方が良い。
・50mm 標準レンズに対して、100mmレンズの方が速い加工設定で切断できる。
結果について
理由を究明するために、調査を行った
※ 以下、「重ね合わせアクリル板の貫通試験」については、旧試験と記します。
※ 以下、本ページの「焦点レンズによるアクリル板の切断比較 B」について
は、本試験と記とます。
※ 以下、本試験の「50mm 標準レンズに対して、100mmレンズの方が速い加工
設定で切断できる」という結果については、本試験結果と記とます。
@ 焦点レンズの差異
旧試験はQSシリーズで行い、本試験はRSD-SUNMAX-RS1490-150Wで行っている。QSシリーズはレットポインター光を反射する鏡面タイプであり、GS/RS/LT シリーズはレットポインター光を投下するタイプであり、と焦点レンズの焦点距離以外の外観・スペックが異なっているため、比較をしてみた。
結果
加工結果に有意な差、顕著な傾向は見いだせななかった。
旧試験と同等の結果となり、本試験結果とは相反する。
焦点レンズの差異が原因ではない。
A 焦点距離・エアー吹付の差異
旧試験は、50mmレンズ、100mmレンズともに、レーサー照射口下 1mm の位置に加工素材表面が来るように調整して試験をしている。
これは、エアーの当たり具合の条件を揃える、ということと、「レンズ通過後にレーザー光は収束・拡散するため、切断時はできるだけ加工素材の厚みの中央に焦点位置があるほうがよい」という考えから、設定された試験条件である。
焦点距離・エアー吹付の差異により切断厚を比較してみた。
結果
「重ね合わせアクリル板の貫通試験(焦点は素材表面・エアー有無の比較)」 参照
旧試験と同等の結果となり、本試験結果とは相反する。
焦点距離・エアー吹付の差異が原因ではない。
B データの差異
旧試験は、5mmの直線データを、加工スピード変えて切断厚を比較したが、本試験では、φ5の円形データを使用している。
データの差異により、レーザースポットの移動が異なるため、それが加工仕上がりに影響していないか確認してみた。
結果
「重ね合わせアクリル板の貫通試験(円形 φ5)」 参照
スピードが5〜10程度では、50mm焦点レンズの方が深く切断できる。φ5の円形データであっても、旧試験と傾向は変わらない。
データの差異が原因ではない。
C レーザーヘッドの形状
旧試験、「@ 焦点レンズの差異」、「A 焦点距離・エアー吹付の差異」および「B データの差異」については。レーザー照射口を取り付けた状態(通常、加工時の状態)で試験を行っているが、本試験については、「エアーのあたりの差が仕上がりに影響を及ぼさないように」エアーOFFで行ったため、照射口を取り外した状態で起こっている。
照射口の有無によって。影響があるのか確認を行う。
結果
「重ね合わせアクリル板の貫通試験(照射口 有無比較)」 参照
旧試験と本試験の結果が相反する理由は、照射口の有無による100mmレンズ装着時の出力の差であると考えられる。
結論
50mmレンズと比較して、より速く加工可能である。
ただし、レーザー照射口を取り外す必要がある。